2020.09.12 05:48みずたまりに溶けた夜電気が消され、ベッドの傍に置いてあったランプだけが部屋をぼんやりと照らす。レッドの上着を下に敷いたまま、オレは枕に頭が来るように横にさせられた。その上をレッドが跨がり、見下ろしてくる。仄かな灯りが創り出す非日常的な艶めいた空間に、思わず息を呑んだ。シャツのボタンが下から一つずつ外...
2020.09.06 03:1902-待ってくれなかった君が悪い「うう、さみぃ⋯⋯」ぶる、と身震いしてウインディのお腹に埋もれる。今いる場所は洞窟の中だし、焚火もしているのだが。シロガネ山に籠ってから三年経っても、未だにこの寒さには慣れない。──レッドのやつ、よくこんなとこ半袖で過ごせたな。そんなことですら負けた気分になって面白くない。この山...
2020.09.06 03:1403-大切なものは「勝者、レッド!!」チャンピオン戦で、僕はグリーンに勝った。オーキドがやってきて、僕を褒めたたえ、自分の孫に説教を始める。だが当のグリーンはぼうっとしていて、話なんてちっとも聞いてないようだった。負けたショック? いや、違う。彼ならもっと、悔しくて堪らなくてもっと苦しそうな顔をす...
2020.09.06 03:0704-裏切りと救済は紙一重朝目が覚めて、足首につけられた鎖を見て溜息をつく。この悪夢はなかなか醒めてくれないようだ。久々に会ったライバルに惨敗したあと、オレはトキワジムの一室に軟禁状態にされていた。ベッドに繋がれた鎖は長く、部屋の中ならどこへでもいける。まだまだ遊び盛りの若者をこんなところに閉じ込めるなん...
2020.09.06 03:0305-君がいないと俺と手を組まない?そう言ったヤスタカは腹の読めないような笑顔で。「現リーダーを裏切るのか?」「裏切るなんてとんでもない。むしろ、なんだろう、救済?」「は?」ヤスタカは俺の隣に座って腕を組んだ。「俺って現リーダーがトキワジムに就いてから割と最初の方からいるんだけどね。まあ結構長い付...
2020.09.06 02:5406-みずたまりの色君を繋ぎとめられるなら、苦しみだって利用する。捨てられた子犬のような目を向けたなら、君は簡単に絆される。***「いつまでそこにいんだよレッド」部屋にまたもや閉じ込められたオレはベッドに座ってふてくされていた。レッドは椅子に座ってじっとこちらを見ている。「どうしたら逃げなくなるのか...
2020.09.06 02:4707-願い事は「多分、こっち」レッドは迷うことなく洞窟を進んでいる。オレとヤスタカは少し後ろについていく。今はこいつの勘に頼るしかない。洞窟の中は複雑で、ヤスタカも流石に道は覚えていないらしい。ただ、前回もレッドがジラーチを見つけ出したそうだ。「グリーン君」レッドに聞こえないくらいの小さな声で...
2020.09.06 02:4308-ありふれた日風の強い日だった。そんな日にオレはシロガネ山の頂上にいた。崖の近くで遠くを眺めているレッドに近づくと、足音に気付いてこちらに振り返った。「バトル?」第一声のそれに思わず苦笑が漏れる。「今日はバトルの誘いじゃねぇよ。旅行の誘いだ」そう言ってオレは二枚のチケットを取り出した。「南国の...
2020.09.06 02:3900-救済の代償苦しみから生まれた執着も恋心も、ともに溶けて消えてしまったけれど。***チャンピオン戦でグリーンに勝った後、僕はシロガネ山に篭っていた。行き先は誰にも告げなかったのに、何故だかグリーンにはすぐに探し当てられてしまった。たまにふらっと来たかと思えば、食料やら服やら、何かと世話を焼い...
2020.09.06 02:36PIXIV概要欄に書いてたオマケまとめ+α当時PIXIV概要欄に載せてたおまけとか、載せようとして考え直して消してたものとかをまとめました。途中一瞬だけヤスグリ要素ありますがおふざけレベルです。本編と打って変わってギャグなのでイメージ崩したくない方にはおすすめしません!*******【01-人生交換NGシーン】「わりぃけ...
2020.09.06 02:30Another story-君が崖から落ちてから後味悪めで死ネタ苦手な人の苦手なものが詰まってると思うので注意。*******最初の日「グリーン!!!」自分でも驚くほどの絶叫だった。グリーンが落ちた。ピジョットを受け止めようとして、崖から落ちてしまった。どうしよう、どうしよう、どうしよう。早く助けに行かないと。でもきっと大怪我...
2020.09.06 02:2101-人生交換「また僕の勝ちだね、グリーン」「勝負ってのは最後まで分からないもんだぜ、レッド」風の強い日だった。そんな日にオレはシロガネ山の頂上にいた。面白い戦術を思いついたから、ポケモンたちと特訓をして、レッドに勝負を挑んでいたのだ。だが正直なところ、お世辞にも接戦とは言い難かった。オレの手...