2020.09.09 13:23予兆十八歳の夏。トキワの森にある小さな白い花畑。そんな童話みたいな場所に男二人で腰を下ろしていた。見上げれば丸くて青い空がぽっかりとあいている。風にそよいで擦れる葉の音が心地良い。「グリーン」名前を呼ばれて隣を見れば、真剣な顔をしたレッドがいた。木漏れ日を浴びたその姿はどこか子供時代...
2020.09.09 13:20裏切り者レッドと結ばれた俺は、書類上では他人だが、まるで夫婦のように同じ家で共に過ごした。実りの秋を過ごし、今は冬を迎えている。しかし順風満帆、幸せな毎日──とはいかなかった。別に喧嘩をする訳でも、他人から不幸な介入を受けている訳でもない。ただ、なんだかつまらないのだ。レッドとの生活が。...
2020.09.08 14:05君のため目が覚めると、クッションの敷き詰められた大きいケージの中だった。ゆっくり起き上がる俺の動作を外からレッドがじっと見ている。「おはよう」今朝と変わらない笑顔だった。それがひたすらに恐ろしかった。「レッド、なんで、こんな──」「君が一緒に鐘を鳴らしてた男って、誰?」「え──」見られて...
2020.09.08 14:00再会木の匂いがする。トキワの森の匂いじゃなくて、古めかしい日本奥屋のようなこもった匂いだ。ゆっくり目を開くと、霞む視界に誰かがいた。目が覚めて最初に俺の傍にいる奴なんて決まってる。レッド。あまりに厭な夢だったから、何だか無性に恋しくなって、手を伸ばして頭を掴み引き寄せた。顔にかかった...
2020.09.08 13:55四十二日間の逢瀬「レッドは七日前に亡くなっているね」俺はワタル立ち会いのもと、元四天王の一人であるキクコと向き合っていた。あの後すぐにワタルの元へ行きレッドの話をすると、到底信じられない、と疑いながらもキクコを紹介してくれた。なんでもその道のプロ、だそうだ。キクコは電話で概要を聞いた後、その日の...
2020.09.08 13:48見つからない花ノートには四十二本の線がある。今は四十二日目の夜だ。何度も数えたから間違いない。何故だかとても静かだ。それでもいつレッドが来るか分からない中で眠りにつこうとは思えなかった。仮に何らかの方法で侵入されたとしても対抗する術なんてないが、無抵抗の状態に自らなれるほど図太い神経は持ち合わ...
2020.09.07 13:31side story - R『予兆』十八歳の夏。トキワの森にある小さな白い花畑。そんな童話みたいな場所に二人で腰を下ろしていた。ちら、と隣を見れば、グリーンはぼうっと空を眺めている。投げ出された足は太陽に照らされて、上半身は木漏れ日を浴びていて、その姿はどこかあどけない。そんな穏やかな空気とは対照的に、僕は...
2020.09.07 13:20side story - Gold「ワタルさんとは一度戦ってみたいですけど、チャンピオンとかには興味ないんですよ」冬の訪れを感じさせる寒さの中で、ジョウトを適当にブラブラと歩いている時。たまたまワタルに会ったゴールドは誘われるままに喫茶店でケーキを頬張っていた。奢りと云われて迷うこと無く着いていったゴールドは少し...
2020.09.07 13:09*岬の鐘*雨月/物語の吉備津/の釜(ホラー小説)のパロディ⋯⋯というより元にしたレグリ話。初代/金/銀ベースですが原作とは結構設定変えてます。ゴールドがリーグに挑戦してなかったりカントーに行くのが14歳になってからだったり。超重いシリーズなので真の闇の腐女子向けです!第1話 - 予兆第2話...