酔っぱらいの次の日

マサキとグリーンがお酒飲んで酔いまくってノリで転送マシンのポケモン合体をグリーンで再現してしまったまま眠りについた次の日のお話。(PIXIVにてその部分を漫画形式で投稿してます)




ん⋯⋯あれ、どこだここ⋯⋯

確かマサキと酒飲んで⋯⋯そのまま寝ちまったのか⋯⋯?


とりあえず起き──ん? モフ?

指がうまく動かせな──


肉球⋯⋯?

イーブイの、手⋯⋯?


「⋯⋯ああああああああっ!!?」



「マサキマサキマサキ!!!! 起きろ! エマージェンシー!! 起きろっ!!!」

「ううん⋯⋯あかんめっちゃ頭痛いわ⋯⋯」

「大変なんだよ!! どうしよう!! やべーんだって!!」

「うう⋯⋯頭に響く⋯⋯ん?」

「マサキ!」

「え?⋯⋯ま、まさか⋯⋯」

「そうなんだ! おれ──」


「しゃ、喋るイーブイやー!!」


「はぁ!!?」

「喋るニャースは噂に聞いとったけど喋るイーブイもおるんか! しかも色違いやん! どんだけレアリティ重ねれば気ぃすむねん! 君どこから来たん? 口の構造見てもええ?」

「ばっ⋯⋯バカ言ってんじゃねーよ! 俺だよ!」

「このイーブイめっちゃ口悪いな⋯⋯なんやイメージ変わるな⋯⋯」

「俺だって! グリーン! 目が覚めたらこんな姿になっちまってたんだ!!」

「グリーンのイーブイ? ご主人の名前言えるんやえらいなーグリーンくんも独り占めせんと教えてくれたらええのにー」

「違う!! 俺がグリーンなんだってば!! 何故かイーブイになってたんだよ!! 俺もまじで意味分かんねーんだよ!!」

「あはは! 冗談も言えんねんなー⋯⋯ん? あれ、なんで転送マシンが起動して⋯⋯⋯⋯」


「おれ途中から記憶なくてさ⋯⋯なにがなんだか⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」


「もしかして、ポケモンは元々存在した生物から変化していった姿って説、本当なのか⋯⋯? こうやって人間もポケモンに取って代わって絶滅していくのかもしんねーな⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」


「それとも誰も気が付かなかっただけで、やっぱ人間もポケモンの一種なのか⋯⋯なぁマサキ⋯⋯俺もしかして一生このままなのかな⋯⋯」

「⋯⋯ッハ!! え、えっとな⋯⋯」

「ポケモンマニアのマサキなら何か知ってるんだろ? 覚悟はできてる⋯⋯頼む、はっきり言ってくれ。俺はもう人間に戻れないのか⋯⋯?」

「ええと、そのぅ⋯⋯だ、大丈夫やで!」

「気休めならよしてくれ!!」

「ちゃ、ちゃうねん! あれ⋯⋯過去にも同じ事例があってな、その⋯⋯元に戻す方法はその時編み出したから大丈夫や!」

「そ、そうなのか!? 俺は元に戻れるんだな!?」

「せ、せやで⋯⋯ちょお待っといてな、今準備したるから⋯⋯」


(あかん昨日の記憶おぼろげやけど、わいがやらかした事だけは分かる!! なんやっけ、何をどういじったんやっけ⋯⋯お、落ち着くんやマサキ⋯⋯バージョン管理はちゃんと⋯⋯あ! 最終バージョンに上書きしとる! わいのアホ!)


「マサキ? なんか焦ってるけど本当に大丈夫──」

「大丈夫や言うとるやろーがボケ!!」

「えっ、ご、ごめん⋯⋯」


(いや、昨日のわいが余計なとこまで書き換えとらんかったら大丈夫や。分離プログラム関連はいじってないやろうし⋯⋯全角スペースとか入れとらんかったら大丈夫⋯⋯最悪パッケージングしたやつをリコンパイルすれば⋯⋯わいならいける⋯⋯わいは天才エンジニアひとよんでポケモンマニアとはわいのこと⋯⋯)


ガチャっ

「こんにちは」


「だ、誰や!? わいは何もしとらんで!!」

「お邪魔します。え? 何が?」

「あっ⋯⋯」

「レッ⋯⋯」


(──レッド!!? レッドじゃねーかふざけんな!! おまえなんだってこんな時に限って現れるんだ!? マサキ! 絶対レッドには俺がこうなってるの言うなよ!)

(わ、わかっとる! バレたらわいもマズイわ! なんや分からんけどマズイ気ぃするわ!!)

(頼んだぜマサキ!)


「⋯⋯めめめめずらしいやんっどどどどどないしたんっ」


(マサキ⋯⋯)

(バレるのも時間の問題かもしれないな⋯⋯)


「あれ、このイーブイ色違い?」

(げ!!! こっち見んな!!)

「せ、せやで! いやぁ手に入れるん苦労したわぁー!!」

「ふーんグリーンの髪みたいな色」

(ぎく!!!!!)

「撫でていい?」

「え? い、いやぁ⋯⋯どうやろ⋯⋯」

(気安く触るんじゃねぇ!!)

「痛っ⋯⋯あれ、僕ポケモンには好かれるほうなんだけどな⋯⋯」

「ガルル⋯⋯」

「このプライド高い感じ⋯⋯なんかすごくグリーンに似て──」

「きゅるるーん」

「やっぱ似てないな」

(⋯⋯なにやってんだろ俺)

「そそそそそれより! わいに用があって来たんやろ!?」

「ボックスの上限来たからプレミアムプランに移行したい」

「ああーっプランの変更な! それはええんやけどな、ちょっと今立て込んどってな! ま、また後日に来てくれるか?」


「じゃあここで待ってる」

「えっ」

「椅子とイーブイ借りるね」

「えっえっあっ」


(こ、こいつ!! この俺様を膝に乗せやがっ⋯⋯! アイアンテール! アイアンテールってどうやるんだ!?)

「このイーブイ本当にグリーンだったらアイアンテールしてきそう」

(⋯⋯⋯⋯)

(畜生! 今は大人しくしててやるが皆が皆お前に懐くと思うなよ!)

(あああグリーン&ブイ太略してグリ太から凄まじい殺気が出とる⋯⋯! わいはどないすれば⋯⋯)


「このイーブイの毛つんつんしてるなぁ。色違いじゃなくてサンダースが進化失敗したとかなんじゃ」

(あ! さっき噛んでやったのにめげずに触りやがって後で覚えてろよこの屈辱は必ず──んああああなんだこれレッドのくせに気持ちのいいマッサージしやがってああああ)

(あ、あかん⋯⋯半分ブイ太やから⋯⋯ブイ太撫でるだけでめっちゃ気持ちよさそうにする子やから⋯⋯撫でられて思考停止行動不能状態になっとる⋯⋯!! わ、わいが何とかしてレッドにどっか行ってもらわな⋯⋯!)


「あ、あんな⋯⋯わいのやつ一日掛かんねんか、明日にして欲しいんやけど⋯⋯」

「じゃあ泊まる」

「!? いや、それは⋯⋯ベッドわいの分しかないし⋯⋯」

「寝袋持ってる」

「嘘やろ⋯⋯」

(なんて図々しいんや⋯⋯ま、まさかバレとるわけちゃうよな?)

「でも泊まるんはちょっと⋯⋯」

「疚しいことが?」

「ななななな何を言うとるんや誰もイーブイとががが合体なんてしとらんっしとらんで」

(マサキ!? 動揺しすぎというか合体って何──あああレッドその手を止めああああ)

「いやそのあれや、事前に言うとってくれたらその、わいも歓迎するんやけどな? 急やしちょっと」

「⋯⋯確かに、突然押しかけたのは僕の方か」

「す、すまんなぁ⋯⋯」

「また明日くる」

「お、おお! 気ぃつけてな!」

「ところでマサキ今欲しいポケモンいる?」

「な、なんでや?」

「このレアイーブイ交換してもらえないかなって」

「あっあかん!! それだけはあかん!!」

「じゃあいいや」


「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯行ったか」

「じゅ、寿命が縮まったわ⋯⋯」

「よくバレなかったな。マサキめちゃくちゃ挙動不審だったのに⋯⋯。はは! レッドのやつ、バトルの勘は良くてもこういうとこはマヌケだな!」

「せやったらええねんけどな⋯⋯」


***


「よっしゃ! エラーも無し! 多分完璧や! 準備できたで! そこの機械入ってくれればもーちょちょいのちょいで元に戻れるで!」

「なぁマサキ。どうせ戻れるなら俺やってみたいことあるんだけど。モンスターボールの中とか入ってみたいんだけど。どうなってんのかすげー気になる。あとレベルアップとか進化する時の──」

「あかん! はよ戻って!! わいの! 精神衛生上のためにも!!」

「でもマサキだってポケモン視点でいろいろ知りたいだろ? ちょうどいい研究に──」

「はよ戻れ言うとるやろーがボケナスが!!」

「えっ、ご、ごめん⋯⋯」

(今日のマサキ怖いな⋯⋯いや確かに、よく考えたら急に人間がポケモンになるって異常事態だもんな⋯⋯俺の考えが甘いのかも⋯⋯。時間が経ったらだんだん自我を失うとか⋯⋯めちゃくちゃ怖いなそれ)



「よし⋯⋯行くで⋯⋯システム実行!」

「⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯⋯⋯」

「何もミスっとらんかったらこれで元に戻っとるはず⋯⋯開けるでー」


「⋯⋯ん、お! 戻ってる!! さっすがマサキ! イーブイの視界もなかなか新鮮だったけどやっぱ慣れ親しんだ身体が一番だな!」

「よ、良かったわ⋯⋯ほんま⋯⋯」

「はははどうせならイーブイの姿でレッドのヤツからかってやっても良かっ──」

「え、どないしたん? 玄関の方じっと見て──あ」

「⋯⋯⋯⋯」

「レ、レッド⋯⋯いつから⋯⋯なんで⋯⋯」

「数秒前から忘れ物を取りに」

「へぇ⋯⋯」

「もうわざマシン23は必要ないね」

「⋯⋯!! お、お前やっぱ気づいて⋯⋯!」

「一般人を実験体に研究か⋯⋯」

「ちゃ、ちゃうねん。事故やねん」

「エンジニアが若者で実験中事故を⋯⋯」

「ああああちゃうねんてー!!!」

「待て待て! マサキは何も悪くねーよ! むしろ助けてくれたところで──」

「ポケモンマニアが高じて若者を騙し実験を行うエンジニア⋯⋯」

「どんどん悪化しとる! いや、その、なんちゅーか、わいも何でこうなったんかよー分からんくて⋯⋯覚えとらんねんほんま⋯⋯わい何も悪ないもん⋯⋯」

「精神障害を理由に罪を軽くしようと⋯⋯」

「あああああ」

「カントーに蔓延る悪は僕が許さない」

「悪もん扱いされた! ジョウトに帰省しよかな⋯⋯」

「おいレッド。よく分かんねーけどマサキをあんまいじめるなよ。お前だって普段ボックスでお世話になってるだろ」

「くっ、ボックスのポケモンを楯に取るなんて卑怯な⋯⋯! ようやくしっぽを掴んだと思ったのに!」

「うん⋯⋯わいの信用がどうしょーもないくらい地に落ちてもうた気ぃするわ」

「俺はマサキの味方だぜ!」

「グリーンの洗脳を解くのが先か⋯⋯?」

「もう何でもええわ⋯⋯」



お酒はほどほどに!



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