#05 最終回
「僕は昔から友人ができても関係が長続きすることはなかった」
「最初は無邪気に話しかけてきた奴もみんなだんだん、その表情が畏怖だったり劣等だったり嫌悪だったり崇拝に変わっていって──次第に離れていったり、離れさせたりした」
「でも君は違った。僕が君を超えて見せても、瞳から闘志が消えることはなくて、僕を越えようと──」
「違う⋯⋯! おれもきっと、他の奴らと⋯⋯何も⋯⋯」
何も変わらない。
おれが占めていたものは、そんな純粋な、きれいなものじゃない。
畏怖と劣等。無邪気な友愛が、どんどんそんな汚い感情に侵されていった。
「だいじょうぶ、グリーンは何も悪くない。全部僕のせいだ」
「君は少し追い込まれただけ。少し人間らしすぎただけ。狂ってるのは──」
「でも受け止めてくれるよね。だって僕たち──」
しんゆう、なんだろ。
【あとがき的な】
旅出る前はレッドがグリーンに執着してたけど、旅に出てポケモンに夢中になったレッドにグリーンが執着しはじめるみたいな。でも本当はレッドのグリーンへの執着はむしろ強くなってたみたいな。そんな感じのが書きたかったやつです。
でも旅に出て、の部分が思い浮かばなかったー! 最終回付近も! もうちょいで完成しそうなのにー!
多分完成すること無いので書いちゃいますが、「レッドは別の世界の中学生で事故で死んでこの世界にやってきていた。」という真相があったりしました。流行りの転生ものですね。
旅の途中のシーン、ちょっとだけは書いてたので載せときます。
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そうだ。おれが教える立場だ。おれの方が上だ。おれの方が早くに図鑑を埋めてるし、ジムも攻略してるし、強いポケモンを理解してるし、おれの方が絶対優秀だ。バトルは負けが続いてるけど、それはおれが本気を出してないからで、おれの方が強いから、こんなマイペースでライバルなんて気にもせずに旅してる脳天気なやつ相手に本気を出す必要がないからで、おれの方が、おれの方が、レッドなんかより、おれの方が──
なのにこの焦燥は何だ?ひんやりと心臓を撫でるようなこの不安は?
***
俺にしか向けられなかった笑顔も関心も、今はポケモンたちに注がれていた。
そうか、今までレッドには俺しかいなかったんだ。でも今は──
少し前までは鬱陶しいくらいにおれに付きまとっていたくせに。
知らなかったポケモンに触れて、おれにはもう興味ないってか。
結局こいつは、つまらない世界に刺激を与えてくれる存在が好きなだけなんだ。勝手なやつだ。最低だ。⋯⋯最悪だ。
俺に執着してたのはレッドだったのに、これじゃまるで、俺ばっかりが気にしているみたいだ。実際そのとおりだ。俺ばっかりが熱くなって、レッドのバッジの数が気になって、どこで何してるのか、何を手に入れて何を知ったのか、何もかもを知りたくて仕方なくて、それでもレッドの瞳に映るのはポケモンだけ。そんなの──
気に入らない。
お前は俺だけを見ていればいいんだ。
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私のヤンデレ好きが如実に出てますね!
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